何度打ちのめされてもしぶとく起き上がってくる弱いファイターのように鳴るアラームを、また消してしまった。
そうやってJMが、起き上がるまであと2分、あと1分、とタイミングを先延ばしにしている間に、そっとドアが開く気配がして、ベッドが遠慮がちに軋む。
これから出勤という自分のスケジュールとは正反対に、これから眠りにつこうとするJKが、目を薄く開けた相手に気がついて「ごめん」と言った。
ごめん
そういえば、最近は謝らなくなった。
ベッドの奥に少し体を移動させながら、JMはふとそう思った。
昔は謝ってほしい時に謝らず、謝ってほしくない時に謝ることがよくあった。
好きになってしまって、ごめん
触れてしまって、ごめん
イヤな気持ちにさせたよね、ごめん
ごめん、の前の言葉は発せられないまま、謝罪の言葉だけが投げられる。
それを受け取ってしまうとその先はない訳だから、結局は自分にどうするかを迫ってきてるんだという、そのことが伝わらない。
けれど、心細くて目に浮かんだ涙は見せられない。
そういうことが続いた時期もあった。
強くなったんだな
一抹の寂しさと共に、JMはそう思った。
眠いんだから、そのまま目を閉じればいい。
今ベットを離れようとしている自分のことなんか気にしなくていい。
JMは、JKの大きな背を抱いた。
もう出るんでしょ
眠たげに言うその声に、本当に鬱陶しがってる感じはない。
その事に心が震えるような愛おしさを感じながら、JMは相手のうなじに唇を寄せた。