絶対に揺らぐことはないと信じていたのに、相手の表情を怖々覗かないといけないような、そんなヒリヒリした時期を過ごした後、ようやくちゃんとお互いを確かめ合うことができた。
そんな時間を過ごした夜くらい、安心してゆっくり眠ってもよさそうなものなのに、明け方のベッドの中でJKの意識は冴え冴えとしていて、ついさっきまで火照っていた指先が冷えて寒く感じるほどだった。
浅い眠りをまとって自分の前に横たわっているJMを起こさないよう、JKは瞬きひとつにも気を遣いながら、自分たちの置かれた状況について考えていた。
熱く、冷静に。
もう長くJMを見てきている。
こうなった後に夜が明けて、遅い昼食を食べる時のJMの態度は予想がついた。
面白くない冗談を言ってひとり笑い続けるか、視線を落としたまま黙っているかのどちらかだ。
その白い寝顔を見つめながら、JKは静かに息を吐いた。
カーテンの奥で少しだけ開けてある窓の隙間から、夜の空気の音が滑り込んでくる。
そのひとつひとつに理由があり、自分は自分たちふたりを囲むその理由全てをうまく扱う必要があるのだった。
今夜はっきりした、目的のために。
組織や人の感情や考え方を相手に、自分はどう立ち回ればいいのか。
JKはゴールをこめかみの数センチ前に置き、そこに辿り着くための算段をし始めていた。
大丈夫、自分はうまくやれる。
今までだって、自分はちゃんとできてきたのだから。
だから。
幸せになるためには、この自分を信じてくれないといけない。
それで、ただ安心してそばにいてくれればいい。
我慢できないことは、我慢しちゃダメなんだ。
JKは、相手の鼻先に長い指をそっと伸ばした。
指先を暖かい息が撫でる。
だめだ、今夜は全然眠れそうにない。