ほしばなし

JK & JMに触発されて書いた、短いお話

落下

僕は乳白色の夢を見ている

 

眠りと覚醒の境界は曖昧で

ただでさえ夜と朝がひっくり返りがちなのに

朝と夜が逆の世界にやってきたせいで

僕はどちらにもいない

 

目を閉じたほうが明るいとか言うと

人は疲れてるねとか言うんだろう

まったく難しいことばかり言いたがって

難しいことばかり考えたがる

 

僕を寝かしつけたいのなら

家に帰らせてよ

 

チーズのような肌の上に手を置いて

その下のあばら骨が動くのを感じていたい

呼吸すると広がったり狭まったりする

あれはきれいな鳥籠なんだ

 

自分の手の温かさで表面が溶けて

指が少しずつ沈んでいく

耳を澄ませて指の上がり下がりに

同じように息を合わせてるうちに

僕は自然に眠りに落ちて

夢の夢へと落下していく

 

そうして僕の手が滑り落ちそうになったら

握りしめてくれるその指に

数字が刻まれてることを確かめたくて

目を開けるんだけど

 

望む場所に、僕はいるのかな?

 

 

 

 

 

「今日は何もないんだから寝てろよ」

 

JMは相手の大きな手に自分の手を重ね

胸のほうに引き寄せて、そう言った。