可愛いな、もう
細長く腫れた腕の傷が目に入るたび、口許が緩んでしまう。
人目につく場所になにも痕が残らないよう、こっちは普段から気をつけてるというのに。
久しぶりの再会に大興奮の黒い相棒に、そんな気遣いができるはずもなかった。
明日の出発に備えてクローゼットの扉にかけてある半袖のシャツを見て、JKは数時間前の会話を思い出していた。
上に何か着ていかなくていいの?
その問いに対する返事は
「別に隠すほどの事でもないから」。
何気ないふうを装ってそう言った後、JMが自分の反応を伺うように、チラとこちらを見たのを見逃さなかった。
可愛いな、もう
JKは、眠っている彼の柔らかな腕の内側に走っているピンクの線を、そっと指でなぞった。