ほしばなし

JK & JMに触発されて書いた、短いお話

2023-01-01から1年間の記事一覧

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喉が渇いて目を覚ますと、大きな体が自分の隣に横たわっていた。 口は少し開いたままだが、寝息はいつになくおとなしい。 ついにそんなところまで気遣えるようになったかと、JMは少し可笑しくなった。 美味しい肉を食べに行く。 前から気になっていた帽子を…

kiss.

話を聴こうと顔を近づけたはずみで という偶然を装った、初めての 互いの気持ちをちゃんと確認したくて 唇よりも相手の目をずっと見ていた、2回目の 幸せで 小刻みに震える自分を感じながらした、3回目の 突き上げてくる欲望の勢いそのままに 噛み付くよう…

Lock

着替えも済んで、あとは楕円形のバングルを着けるだけなのに、慣れない形のせいか上手く輪を閉じられない。 もたもたと左手で金属ををいじっていると、急に後ろから人の気配が覆い被さってきた。 両脇から長い腕が回され、大きな手が右手首を包んだかと思う…

引き潮

広い部屋を暗くして抱き合うのがいい。 凝縮された暗闇に包まれているような質感に安心できる。 暗いうえに裸眼で視界が狭く、自分の指先がせいぜい見える程度だから、親指で探るように相手の唇に触れた。 少しカサついた表面を擦ってそのまま奥の濡れた場所…

瞳の奥

明かりを落とした部屋で 唯一ついてるテレビの光が 肌の上でチラチラ瞬いている。 横顔をさり気なく覗いてみたが 映画を観ていないのは明らかだ。 眼球が全く物語を追っていない。 瞬きさえ忘れたかのような瞳の 濡れた水面に虚しく 主人公達の闘いが映って…

迷子

ずっと走り続けているせいで、顔も指先も熱くなって膨張しているように感じる。 鼓動がバカだバカだバカだと変換されて耳の奥で鳴り続ける。 誰がバカだ?自分で相手だ。 なにが間違いかといえば、傷ついてると勘づいたのに甘えてそのまま全部言ってしまった…

点滅

目の奥で光がチカチカ点滅する。 フラッシュの明かりか 携帯の通知か。 眠い眠い。 頭上で飛び交う 全く理解できない会話も止んだ。 眠い眠い。 行儀の良い肌触りの服も脱いだ。 万年発情してるかのような 香水の匂いからも解放された。 眠い眠い。 こんなに…

冬の海

その色は、あの冬の海のようだった。 1月下旬、パリのファッション・ウィーク。とあるブランドのアンバサダーとして招待された彼の姿が、ネット上に溢れかえった。 緊張した頬と眼差しを動画越しに確認した後、 JKは彼の着ている服に目をやった。上着の色は…