喉が渇いて目を覚ますと、大きな体が自分の隣に横たわっていた。
口は少し開いたままだが、寝息はいつになくおとなしい。
ついにそんなところまで気遣えるようになったかと、JMは少し可笑しくなった。
美味しい肉を食べに行く。
前から気になっていた帽子を買いに行く。
知り合いのステージを観に行く。
久しぶりにスケートをする。
好きなだけ飲んで、最後は気絶するように寝る。
スケジュールの合間をみてやろうと言っていたけれど、なにひとつ実現しないままだ。
最近はもう、一緒に行くかと誘われることもなくなった。
ずいぶん伸びた相手の髪に顔を近づけると、ちゃんと洗った香りがする。
ライブの帰りに肉でも食べに行ったんだろうか。
普段なら、面倒くさがってシャワーも浴びずに寝るくせに。
自分の側で横になるために身ぎれいにする、その気持ちに切なくなった。
海外でのひとり仕事のご褒美で、今日だけは久しぶりに何も予定のない日になるはずだ。
起きたら一緒にコーヒーを飲む。
自慢のラーメンを作ってもらう。
寂しかったと言う。
寂しかったかと尋ねる。
肌を重ね合って一日過ごす。
これくらいのTo Do リストならこなせるだろう。
昨晩の夢の中で、自分のこめかみに触れてきた唇の感触を思い出しながら、JMはそっとベッドを降りた。