ほしばなし

JK & JMに触発されて書いた、短いお話

笑み

彼の笑った顔が好きだ。

 

瞳のきらめきがまぶたに押されて

水面に反射する陽の光のように揺らめくから。

 

 

パッと明かりがついたような笑顔が見たくて

しばらくの間、自分の気配を消してから名前を呼ぶ。

 

泣き出しそうな笑顔を見たくて

誕生日を祝いに海を越えて帰る。

 

変なものを口にしてしまったのを誤魔化すような

無理して笑う顔が見たくて

別の人に寄りかかってみる。

 

自分が特別だと思わせてくれる

あの輝く笑顔が見たくて

尽きそうな力を振り絞って踊る。

 

 

その笑顔の持ち主が今、仰向けになった自分の上にのしかかっている。

ずいぶんと我儘で不敵な笑顔を見せながら。

 

ワークアウトに誘ってくれた、親友との待ち合わせの時間はもうとっくに過ぎているというのに。

伸びた髪の間から見える瞳が、夏の木漏れ日のように美しくて、どうしようもなく愛おしい。

 

こっちの約束のほうが先でしょ 

 

そう言う声が耳元に降りてくるのを聞きながら、JMは、行けそうにない、と心のなかで友に謝った。