ほしばなし

JK & JMに触発されて書いた、短いお話

the Dusk


図らずも

吸血鬼にされてしまった青年が
永遠の生という孤独に耐えかねて

長い長い旅に出た

 

昼間を避け

夜露をワインの代わりにし

梟に艶やかな歌声を聴かせ

その強靭な脚で

たくさんの川と山を越えて

 

ある月の明るい夜

ヴァンパイア殺しが居るという
古城に辿り着いた

 

そこには青年と同じような歳にみえる

若者がひとり住んでいた

 

蝋燭の炎が揺らぐたび

その若者は

男にみえたり女にみえたり

嬉しそうにみえたり

悲しそうにみえたりした

 

彼は言った

僕の血は特殊でね
君を永遠に眠らせることができる

 

でも寂しくはないよ
ずっと僕が眠る君の側にいる

この世界が終わるまで

 

青年は幸せのあまり
ルビーの涙を一粒
ぽろりと落とした

 

 

 

画像:https://twitter.com/bts_bighit/status/1560084066359205888?s=46&t=ULKJlA8l0ub4KkMKZhnyQA